7月9日 論文ゼミ 高橋

日 時:2012年7月9日
発表者:高橋颯吾
題 目:Pitfalls in understanding the functional significance of genital allometry
    生殖器のアロメトリーの持つ機能的意義の理解における落とし穴

 節足動物のオスの生殖器は負のアロメトリーを示す(すなわち体の大きなオスの生殖器は不釣り合いに小さく、小さなオスでは不釣り合いに大きい)。
 本論文では、"one-size-fits-all"仮説と、生殖器にかかる選択のパターンの関係性について議論している。特に、方向性選択−安定化選択の対比及び自然選択−性選択の対比に焦点を合わせている。
 また、アロメトリーを用いた研究において注意すべき方法論上の問題点も指摘している。最も大きな問題点としては、生殖器のある部位のアロメトリー値を絶対値として扱うのではなく、非生殖器の部位と比較した相対値として扱わなくてはならないという点がある。また、アロメトリーの議論において、大きさ(size)と形(shape)の区別をしなくてはならないという問題点もある。
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# by mushikusa | 2012-07-06 21:49

7月4日 (水) むしくさセミナー 永田

日時: 7月4日 13:20~
発表者: 永田優子
題目「半自然草原における管理の放棄、変化に伴う植物多様性の減少メカニズムの解明」

要旨:
半自然草原とは、人の管理によって維持されてきた草原であり、多様な草原性生物が見られる環境である。しかし、近年、ライフスタイルの変化や管理者の高齢化などに伴い、草原面積が減少し、草原性生物の多様性減少が世界的に報告されている。本研究では長野県の半自然草原において、草原管理とそれによって変化する生育地の環境要因が、植物にどのように影響を与えているのかを明らかにし、草原性植物の多様性を生み出すメカニズムを示す事を目的としている。2011年までの結果をふまえ、今年の調査の中間報告を行う。
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# by mushikusa | 2012-07-04 10:32

7月2日 論文ゼミ 永田

日時:7月2日(月) 13:20~
発表者:永田 優子
題目:Moving from pattern to process: coexistence mechanisms under intermediate disturbance regimes.
パターンからプロセスへの移行:中規模な撹乱形態下における共生メカニズム

この論文は中規模撹乱仮説(Intermediate Disturbance Hypothesis:IDH)に関するレビューである。IDHとは、中規模的な撹乱の下で生物の多様性がピークとなる、という説である。強すぎる撹乱下では、成長に時間を要する種が育てず、また逆に弱すぎる撹乱下では、競争に強い種が先駆種を駆逐してしまう。これらの中間程度の撹乱下にて、両方のタイプの種が共生できる。撹乱と多様性のパターンを示した研究は多いが、そのメカニズムに迫った研究は少ない。本稿では、これまでのIDHに関する論文を整理し、メカニズムを示す為に必要な条件について考察を行う。
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# by mushikusa | 2012-07-02 07:28

7月2日(月) 論文ゼミ 篠原

日時:7月2日(月) 13:20~
発表者:篠原忠
題目:The phylogeny of monkey beetles based on mitochondrial and ribosomal RNA
genes (Coleoptera: Scarabaeidae: Hopliini)
ミトコンドリアおよびリボソームRNAの遺伝子に基づくアシナガコガネ族の系統

 アシナガコガネ族Hopliiniはアフリカ南部で多様化した、花食性および食葉性の種を含む大きな分類群である。これらは成虫の食糧源や交尾場所として花と密接な関係を持っており、そのため重要なポリネーターになっている。アシナガコガネ族は、他のコガネムシ科の分類群との系統関係が形態形質を用いた研究で議論されているが、DNAを用いた研究はこれまでに行われていない。
 本研究では、アシナガコガネ族46種を含むコガネムシ科158種で28S rRNA、COⅠ、16S rRNAの塩基配列を用いて解析を行った。最尤法とベイズ法を組み合わせて系統関係を復元したところ、アシナガコガネ族の単系統性が示された。アシナガコガネ族はMacrodactyliniと姉妹群になり、これらを含むクレードはハナムグリ亜科+スジコガネ亜科+カブトムシ亜科の基部に位置している。アシナガコガネ類の夜行性以外の種では性的二型が見られるが、最節約配置の結果から、性的二型の独立した3つの起源と同時に花にもぐり受粉を行うようになったことが推測された。
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# by mushikusa | 2012-07-01 00:36 | むしくさセミナー

6月27日(水)蟲草ゼミ拡大版

日時:6月27日(水)13:20〜
場所:A325

題目:マイマイカブリにおける形態的多様化と外部形態の遺伝基盤
演者:小沼順二(京大・理)

陸生巻貝を主食とするオサムシでは巨頭型と狹頭型とよばれる形態的2型がみられる。巨頭型オサムシは著しく肥大した頭部と胸部をもち、狹頭型オサムシは細長く伸長した頭部・胸部をもつ。興味深いことに、このような形態的2型はカタツムリを専門的に利用するオサムシでみられ、ミミズや昆虫を主食とするオサムシでは報告例がない。なぜ巻貝食のオサムシでのみ、このような形態の多様化が生じているのだろうか。マイマイカブリを用いた行動実験の結果、巨頭型は殻を壊す行動、狹頭型は頭を突っ込む行動においてそれぞれ高い採餌能力を示し、2つの行動の間にトレードオフが存在することが分かった。この行動の違いによって、資源として利用できるカタツムリ種の差が生じている。実際、野外におけるカタツムリ種構成を調べた結果、小型の巻貝が多い地域では巨頭型マイマイカブリが多く生息し、大型の巻貝が多い地域では狹頭型マイマイカブリが多く生息する傾向がみられた。陸生巻貝に対する適応進化の結果、貝食性オサムシの形態的多様化が生じたのではないだろうか。本仮説を更に検証すべく、マイマイカブリ巨頭型と狹頭型を実験室内で人工的に交雑させ、F1およびバッククロス系統を構築し、マイマイカブリ外部形態の量的遺伝解析を行った。本発表では、そのような形態形質の遺伝基盤が貝食性オサムシの適応進化にいかに影響を与え得るかについて議論を行う。また発表後半では、幾何学的形態測定法にふれると共に進化生態学への有効性を紹介したい。
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# by mushikusa | 2012-06-21 11:41 | むしくさセミナー