2018/5/2 むしくさ 西村太良

タイトル:マヤサンオサムシの交尾器形態の地理的変異の検証 〜生殖的形質置換の検証〜
発表者:進化生態学研究室M2 西村 太良

種分化は生物多様性を生み出す根源的過程であり,種分化において生殖的隔離の成立は重要な過程である.
生殖的隔離機構の一つとして,交尾器形態の不一致が異種間交雑を妨げる可能性が知られている(交尾器の錠と鍵説).
この交尾器の錠と鍵の関係は,種や個体群が異所的に分化した後に,二次的接触が生じた場合に交雑のコストを避けるような形質の分化(生殖的形質置換)によって生じた可能性がある.
これまで,交尾器形態の地理的変異の測定によって近縁種との共存域で交尾器形態が分化していることを検出した研究や,系統樹による解析から過去の交雑を検出し,交尾器形態の分化が生殖的形質置換であると示唆する研究がある.
しかし,実際に共存域で分化した交尾器形態が交雑のコストを避けるように機能するかを検証した研究はない.
そこで,本研究では雌雄の交尾器形態が著しく分化していることが知られているオオオサムシ亜属(Ohomopterus,甲虫目オサムシ科オサムシ属 Carabus)に注目した.
オオオサムシ亜属の姉妹種であるマヤサンオサムシ(C. maiyasanus)とイワワキオサムシ(C. iwawakianus)は側所的に分布している集団が存在しており,マヤサンオサムシの交尾器形態はイワワキオサムシと側所的な集団で種間差を広げるように分化している.
マヤサンオサムシの側所的な集団と異所的な集団の交雑時のコスト回避が存在するかを比較することで,マヤサンオサムシの交尾器形態の地理的変異が生殖的形質置換なのかを検証する.
今回は,これまでの研究結果と今後の展望を発表させていただきます.

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# by mushikusa | 2018-05-01 14:21 | むしくさセミナー

20180423 論文ゼミ


発表者:高島敬子
次の論文を紹介します。

Plant sizes mediated mowing-included changes in nutrient stoichiometry and allocation of perennial grass in semi-arid grassland

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ece3.3866

要旨
草刈り導入による植物形質の変化と生態系機能における効果が多く研究されている一方で植物のサイズと栄養戦略の関係はあまり研究されていない。草刈りは植物の栄養制限と栄養の配分を変える要因となる可能性がある。本研究では、草刈り頻度を17年間コントロールした実験を行い、Leymus chnensisのサイズのばらつきに伴う栄養化学量とその配分の変化を評価した。その結果、草刈り頻度に沿った植物形質と栄養戦略間の効果が異なることがわかった。本研究によって、主要成分の濃度、蓄積、生態学的化学量、そしてその配分が長期間の草刈り導入によってどのように変化するか植物サイズのばらつきを介してそのメカニズムを明らかにした。


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# by mushikusa | 2018-04-21 21:09 | 論文ゼミ

論文紹介 矢井田

2018/4/23 13:20~ 発表者:矢井田

下記の論文を紹介します。
「Urban power line corridors as novel habitats for grassland and alien species in south-western Finland」

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0142236

要旨
草原環境の急激な減少に伴い、近年様々な草原の代替地が探されています。本研究ではそのひとつである送電線下に広がる大規模な半自然草原に注目し、この草原が在来の植物の生育地となっている一方で外来種が侵入し分布拡大の原因にもなっているのではないか、ということを調べています。山地に通っている送電線草原の規模は非常に大きく、これからの草原生植物保全の一端を担うのではないかと発表者は期待しています。



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# by mushikusa | 2018-04-20 19:18 | 論文ゼミ

20180418 むしくさセミナー 寺田夏蓮


『マイクロCTを用いた交尾器形態の発生過程の解明』
発表者;進化生態学研究室M2 寺田夏蓮

体内受精を行う雄交尾器形態は急速に多様化する形質の1つである。交尾器形態は性淘汰や種分化に関わるため、昆虫を始め様々な分類群でその機能が調べられてきた。
しかし、昆虫の交尾器形態の多様化をもたらす発生学的過程については、一部のモデル生物を除きほとんど分かっていない。
オオオサムシ亜属では、雌雄の交尾器形態が種間で多様化し、性淘汰と種分化に関連している。形態、機能共に興味深いが、発生学的過程は未知のままである。
そこで本研究は、オオオサムシ亜属に属する姉妹種、マヤサンオサムシとイワワキオサムシを対象に、交尾器形態の発生過程を解明する事を目的とした。

今回の発表は、これまでの研究結果をメインに紹介する予定です。




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# by mushikusa | 2018-04-18 12:15 | むしくさセミナー

20180418 むしくさセミナー 上原

タイトル
「地域的攪乱レジームに応じた種プールの構築の数理的研究」
発表者
上原勇樹 (生物多様性研究室M2)

攪乱は、競争に強い種による競争排除を妨げて競争に弱い種を残すという点で、生物多様性の維持機構において大きな役割を果たしており、生態学において重要なテーマのひとつである。攪乱については、攪乱が中庸であるとき種多様性が最も高くなるという仮説(中規模攪乱仮説)が知られている。多くの研究が中規模攪乱仮説を支持しているが、種多様性が最大となる攪乱の程度は異なる。そしてその決定要因については明らかになっていない。
そこで本研究では、コンピュータによる数値シミュレーションを用いて、この決定要因についてひとつの仮説を検証する。

今回の発表では、2017年度までの研究内容に加えて、私の研究分野の簡単な説明と今後の研究計画についても発表する。

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# by mushikusa | 2018-04-18 06:29 | むしくさセミナー