日 時:2014年5月14日(水)13: 20〜
発表者:篠原 忠 題 目:色斑多型を持つバッタTetrix japonicaにおける,生息環境の違いに対する色斑のカモフラージュ効果 本論文では,対捕食者適応の観点から昆虫の色斑(色彩や斑紋)の機能について検証を行われている. 色斑多型はさまざまな生物種で見られる.Tetrix japonicaは小型のバッタであり,砂地と草地の両環境に生息すし,その色斑には多型がある.仮想の捕食者としてヒト,そしてさまざまな色斑のバッタを異なる環境に配置させた写真を用いて,1) 色斑多型間で隠蔽度が異なるか,2) 特定の環境で隠蔽度が高くなるか,3) 色斑型の頻度はその隠蔽度を反映しているか,という3つの課題に取り組み,今までに提唱された仮説について検証を行っている. その結果,色斑型間で隠蔽度が異なり,有利/不利がないとするneutral仮説は棄却された.さらに,隠蔽度は砂地と草地で異なっており,いずれの色斑型も草地で隠蔽度が高かった.本論文の結果に基づくと,環境ごとに有利な色斑型が異なるとするbackground heterogeneity仮説は棄却できない.しかし,野外ではより隠蔽度の高い色斑型の割合が低く,これはこの仮説で説明することができない.この結果は,色彩による隠蔽と,その他の適応度に関わるものとの間にトレードオフが存在することを示唆している.そのため,各色斑型に有利な点と不利な点があるとするdifferential crypsis仮説が支持された. Tsurui, K., Honma, A., Nishida, T., 2010. Camouflage Effects of Various Colour-Marking Morphs against Different Microhabitat Backgrounds in a Polymorphic Pygmy Grasshopper Tetrix japonica. PLOS ONE, 5(7): e11446.
by mushikusa
| 2014-05-14 09:48
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