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むしくさセミナー 宇治田京子

生物多様性研究室M1の宇治田京子です。

本日、むしくさセミナーにて発表させていただきます。よろしくお願いします。

【タイトル】

花上を狩場とするクモ類の植物種に対する選好性について

【発表者】

生物多様性研究室 M1 宇治田京子

【要旨】

開花植物上に滞在する捕食者は、送粉者を捕食し訪花を妨げることで、送粉者のみならず植物に対しても負の影響を与えることが明らかとなっており、クモ類については、送粉者を捕食する、あるいは花上に待機し送粉者に対して忌避行動を促すことで、訪花頻度を下げ結実率の低下といった植物種への影響を生じさせていることが報告されている。クモ類の採餌場所の選好性を理解することは、群集内のどの植物種への送粉サービスへ影響を与えているのか把握するうえで重要であるが、多様な植物種から構成される自然群集内でクモ類の植物種選好性を定量的に検証した研究はない。

本研究では、クモ類は群集内で特定の植物に偏った採餌場所選択をしているかを明らかにするために、植物種ごとに花・花序に滞在していたクモ類をカニグモ類と造網性クモ類に分類し、同時に、その植物種の送粉者も機能群分けして記録したデータを基に、クモ類の植物種選好性に対する送粉者の訪花頻度や組成、花形態の影響について解析を行った。その結果、クモ類は送粉者の訪花が多い植物種に多く滞在していることが明らかとなり、カニグモ類についてはハエ目や甲虫類など多様な機能群の昆虫が多く訪花する植物種で滞在している傾向がみられた。さらに、花形態に依存した採餌場所選択はみられないことが示唆された。これらの結果を踏まえて、クモ類の植物群集内における採餌場所の選好性に対しての議論や今年度の研究計画について議論する。


# by mushikusa | 2023-04-19 11:15 | むしくさセミナー

2023.4.17 論文ゼミ 中田

生育地環境の不均一性に着目した都市における適応を調べた論文を紹介します。
従来の都市適応の研究では、都市と農村地といった二項比較や一つの都市-農村環境傾度を用いて議論が行われてきましたが、都市内の環境の不均一性に着目した研究はほとんどみられません。そこで都市公園とその周囲の都市郊外のシロツメクサを対象に環境の不均一性が都市適応に及ぼす影響を検証し、議論を行なっています。

タイトル:The effects of environmental heterogeneity within a city on the evolution of clines

URL:https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1365-2745.14000

# by mushikusa | 2023-04-17 10:53 | 論文ゼミ

2022.10.26 むしくさセミナー 村上渚

生物多様性研究室M1の村上渚です。
本日、むしくさセミナーにて発表させていただきます。よろしくお願い致します。

【タイトル】
ツバキ属における送粉者相と花冠形質の関係

【発表者】
生物多様性研究室 M1 村上渚

【要旨】
 被子植物の多くは動物特に昆虫による送粉に依存しているが、鳥が送粉者として重要である植物種も存在する。鳥による送粉は昆虫が非活発な地域や気候において効果的である。
 ハチドリ以外の送粉者は、訪花の際に花序や花序枝を利用することが一般的で、虫媒の種と比べてその強度が高いことが知られている。一方、ヤブツバキでは送粉者であるメジロが花弁を利用することが知られているが、花弁が足場としての機能を有しているかを示した研究は未だ報告されていない。
 本研究では、ヤブツバキがメジロによる送粉に適応しているか明らかにするために、訪花観察による足場の利用頻度の定量化と送粉者の異なる近縁種の花形質との比較・検証を行った。その結果、ヤブツバキの花冠強度や構造がメジロによる送粉に適している可能性が明らかとなった。今回、ヤブツバキのメジロ媒形質が繁殖成功に寄与しているかどうかを明らかにするために、花冠強度や構造に操作を行い、結果率や結実率への影響を検証した。

# by mushikusa | 2022-10-26 12:46 | むしくさセミナー

2022.05.18 むしくさセミナー 村上渚

生物多様性研究室M1の村上渚です。
今週水曜日に、むしくさセミナーにて発表させていただきます。よろしくお願い致します。


【タイトル】
鳥媒花ヤブツバキにおける花冠形質と送粉者の訪花行動

【発表者】
生物多様性研究室 M1 村上渚

【要旨】
 被子植物の多くは動物特に昆虫による送粉に依存しているが、鳥が送粉者として重要である植物種も存在する。鳥による送粉は昆虫が非活発な地域や気候において効果的である。
 ハチドリ以外の送粉者は、訪花の際に花序や花序枝を利用することが一般的で、虫媒の種と比べてその強度が高いことが知られている。一方、ヤブツバキでは送粉者であるメジロが花弁を利用することが知られているが、花弁が足場としての機能を有しているかを示した研究は未だ報告されていない。
 本研究では、ヤブツバキがメジロによる送粉に適応しているか明らかにするために、訪花観察による足場の利用頻度の定量化と送粉者の異なる近縁種の花形質との比較・検証を行った。その結果、ヤブツバキの花冠強度や構造がメジロによる送粉に適している可能性が明らかとなった。今後、ヤブツバキのメジロ媒形質が繁殖成功に寄与しているかどうかを明らかにするために、花冠強度や構造に操作を行い、結果率や結実率への影響を検証する。

# by mushikusa | 2022-05-16 19:16 | むしくさセミナー

2022年 4月 27日 むしくさセミナー発表 佐藤秋周

生物多様性研究室の佐藤秋周と申します。
明日、むしくさセミナーにて発表させていただきます。

【タイトル】
花形態と送粉者相が開花密度-繁殖成功関係へもたらす影響

【発表者】
生物多様性研究室 M2 佐藤秋周

【要旨】
送粉者に適応した花形態の多様化が起こり、皿状の放射相称花のような単純花から左右相称花や花筒花などの複雑花が進化してきたと考えられています。複雑花はその花形態に適応した特定の送粉者(スペシャリスト)に依存するものが多いとされています。しかし、花形態の複雑化は植物に多くのコストがかかることが指摘されていますが、そのメリットについては明らかになっていません。一般的に、植物は自種開花密度が低い環境では、訪花頻度が減少したり、他種による繁殖干渉を受けたりしやすいことから、複雑花は低密度下における送粉成功を低下させる要因の影響を受けづらいと予測されていますが、これを定量的に検証した研究はまだありません。本研究では、送粉者を限定する複雑花は自種開花密度の低い環境下において繁殖に適応的であるという仮説を立て、長野県菅平高原のスキー場草原での調査を通じて検証を行います。

よろしくお願いします。
佐藤秋周

# by mushikusa | 2022-04-26 17:01