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5月30日(水) 蟲草ゼミ 福本

日時:5月30日(水) 13:20〜
発表者:福本想
題目:「河川水中の環境DNAを用いたオオサンショウウオの存在の検出」

 保全生態学を学ぶ上で種の分布を調査するのは重要である。しかし、種によってはある特定の期間や成長段階において発見するのが困難なものがあり、潜在的に研究結果を偏らせることがある。
 そこで、調査方法のひとつとして河川などの水中に存在する環境DNAを用いて、対象種の存在を検出するアプローチがある。この調査法のメリットとして、見つけにくい生物でも検出が可能、塩基配列の種特異性を用いて種同定が可能、ある程度バイオマスが推定可能などが挙げられる。
 本研究では、オオサンショウウオを対象として環境DNAを用いた調査の方法論の確立を目的として主に以下の3点を行う。
(1)対象種の検出
(2)対象種の外来近縁種の検出
(3)バイオマスの推定

 今後は以下の計画で研究を進める。
(1)河川流量の測定、サンプルの採水、濾過
(2)DNA解析(PCR、シークエンシング)
(3)データ解析
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by mushikusa | 2012-05-29 16:07 | むしくさセミナー

5月30日(水) 蟲草ゼミ 高見

日時:5月30日(水) 13:20〜
発表者:高見泰興
題目:「性淘汰による形質の多様化と種分化:オサムシを使った研究の枠組みと方向性」

ダーウィン以来,性淘汰(繁殖をめぐる個体間の競争による淘汰)は生物進化の強力な推進力として知られてきた.また,性淘汰による繁殖形質の多様化は,集団間の交配可能性に影響し,種分化をもたらす可能性がある.このような「性淘汰による種分化」仮説は,多くの理論研究といくつかの実証研究により支持されてきたが,いくつかの理論では支持されず,否定的な実証研究例も多い.よって,性淘汰による種分化が,どの程度生物の多様化に寄与しているのかは未だ十分に明らかにされていない.

オオオサムシ亜属は日本列島内で分化した15種と多くの地理的変異を含み,特異かつ多様な交尾器形態を持つことから,「性淘汰による種分化」仮説を検証するための良い材料となりうる.今回のゼミでは,これまでに行われてきた研究の結果を概観し,それらを体系化することで,まだ解かれていない問題と注目すべき視点について明らかにしたい.
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by mushikusa | 2012-05-29 14:43 | むしくさセミナー

論文ゼミ 栗本

日時:5月28日(月) 10:00〜
発表者:栗本大輝 (B4)
題目:
Stylish lengths : Mate choice in flowers
花柱の長さ:花の配偶者選択

花柱(柱頭と胚珠の間)は花粉にとって、胚珠と受精するまでの競争の場となっていることが示唆されている。雌蕊は柱頭についた多様な種類の花粉の中から花柱を伸ばすことによって、より良い花粉を選別しているはずである。本研究は多様な花粉の中からの配偶者選択のメカニズムとして、花柱がより長くなるように選択されているということを示した。
31種の花の花柱長と、そのうち21種で花の花糸長を計測し、正規分布からの歪み(skewness)を見ると花柱長が長くなるほうに分布が偏っていた。
また、トマト4種間を比較することで自殖種と他殖種による花柱長の違いも調べた。その結果として他殖種でより長くなっていた。他殖種では、多様な花粉の競争による選別が行われる場として花柱が利用されているためと考えられる。

結論として、花柱はただ柱頭と胚珠をつなぐ役目を果たしているだけではなく、多様な花粉をふるいにかける大切な役割を果たしていると言える。
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by mushikusa | 2012-05-26 15:27 | むしくさセミナー

5月28日(月) 論文ゼミ 永田

日時: 5月28日(月) 10:00〜
発表者:永田優子(M2)
題目:『Navigating the multiple meanings of βdiversity: a roadmap for the practicing ecologist』
β多様性の多様な意味についての案内:生態学者に向けてのロードマップ

β多様性とは、一般的にサイト内における種の変化を示し、小域スケールにおける多様性(α多様性)と広域スケールにおける多様性(γ多様性)を繋ぐものである。β多様性に関する研究は多いが、その解釈は様々であり、解析手法も多く存在している。
そこで本稿の目的は、生態学者にとって実用的なβ多様性のロードマップを示す事である。具体的には、β多様性を考える上で重要な概念である、”Turnover”と”Variation”を区別し、解釈と解析方法についての枠組みを定める。そして実際の野外データを使用し、β多様性の解析手法について例示を示す。
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by mushikusa | 2012-05-25 21:08

5月23日(水)むしくさゼミ 高橋 

日時:5月23日(水) 13:20〜
発表者:高橋颯吾 (B4)
題目:「雌雄交尾器の形態変異と相対成長の解析」

 体内受精をする動物の交尾器の形態は多様である。しかし、交尾器の進化を引き起こすと考えられる性淘汰の強さや形が、種によってどのように異なるのかについては分かっていない。オサムシのもつ交尾器も非常に多様であり、それらは、それぞれの種ごとで異なる形の性淘汰によって生じたものであると予測される。
 交尾器のもつ機能やそこに働く淘汰の形は、交尾器の変異のパターンを調べることによって推測できる可能性がある。先行研究では、メスの体に直接触れるオスの生殖器の部位は、中間的なメスのサイズに適合するため、一般的に小さな変異をもつとされている。また、戦いの武器となる部位などは、大きな変異をもつとされる。オサムシの交尾片には、雌雄交尾器の機械的な組み合わせにより自らの精包を送りこむ機能と、すでにメスの体内にある他のオスの精包を除去する機能がある。
 本研究では6集団のオサムシを用い、交尾器形態の変異を定量化することによって、種ごとの交尾器の機能とそこに働く淘汰を明らかにし、オサムシの交尾器の多様化の原因を考察する。

今後は以下の計画で研究を進める。
(1)サンプルの採集
(2)体サイズ、生殖器の測定
(3)アロメトリー値、変動係数算出
(4)データ整理、考察
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by mushikusa | 2012-05-22 18:56 | むしくさセミナー

5月21日(月) 論文ゼミ 篠原

日時:5月21日(月) 13:20~
発表者:篠原(M1)
題目『Phylogeny, Classification and evolution of ladybird beetles (Coleoptera: Coccinellidae) based on simultaneous analysis of molecular and morphological data』
分子と形態のデータでの同時解析に基づくテントウムシ(コウチュウ目:テントウムシ科)の系統、分類および進化

テントウムシ科Coccinellidaeは種数が多く、農業上非常に重要であり生態的に多様なグループであるが、進化関係がよくわかっておらず、依然として分類に問題が残っている。
 本研究ではテントウムシ科の主要な分岐群を認識し、現在の分類体系を見直し、多食亜目における多様性を進める要因を特定することを目的とし、甲虫のいくつかの科でベイズ法による形態および多遺伝子座の分子データを用いた同時解析を行った。形態データを追加すると系統樹の解像度が大いに向上し、初期に分岐した系列を支持した。その結果、それぞれのデータ単独の解析よりも進化関係が明確になった。これらの結果に基づき、Slipinski(2007)が定義するMicroweisinaeとCoccinellinae(テントウムシ亜科)を正式に認めた。Coccidulinae(ヒラタテントウ亜科)、Scymninae(ヒメテントウ亜科)、Sticholotidinae(メツブテントウ亜科)、Ortaliinae(アミダテントウ亜科)は有意に支持されなかった。本研究の系統解析結果は、テントウムシ科の進化的な成功は幼虫の独特な防御手段の獲得によって、アリに保護される腹吻群を食物として利用できるようになったことによる、ということ示している。
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by mushikusa | 2012-05-21 08:34 | むしくさセミナー

5月21日(月) 論文ゼミ

 日時:5月21日(月) 13:20〜
 発表者:福本(B4)
 題目:『Species detection using environmental DNA from water samples』
    水中サンプルからの環境DNAを用いた種同定

 保全生態学を学ぶ上で種の分布を調査するのは重要である。しかし、種によってはある特定の期間や成長段階において発見するのが困難なものがあり、潜在的に研究結果を偏らせることがある。
 そこで、本研究では淡水環境中に存在するDNAを用いて、対象種の存在を検出するアプローチを提案した。まず、信頼性のある結果が得られるかどうか調べるために水槽での調査を行い、次に、実際に池での調査を行った。対象種としてはウシガエルを対象とした。
 本研究の結果からは、水中の環境DNAを用いて(1)対象種の検出(2)対象種の外来近縁種の検出(3)DNA量に応じたバイオマスの推定ができる可能性が示唆された。今後は、生物のサイズ、密度、排出量の量などの要因を考慮して環境DNAを用いた調査の方法論を確立する必要がある。
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by mushikusa | 2012-05-18 18:15 | むしくさセミナー

5月14日論文ゼミ

日時: 5月14日(月) 13:20〜
発表者:丸山航(M1)
題目:『Sperm competition games played by dimorphic male beetles: fertilization gains with equal mating access』
雄が形態的二型をもつ甲虫における精子競争ゲーム:同じ交尾手段を用いた受精獲得

種内の雄間における異なった交尾戦略は,精子競争リスクのアシンメトリーを引き起こす.理論では,精子競争への適応が雄の直面するリスクの増加によって生じると予測される.この予測は,スニーカー交尾においてより多くの精液投資をする糞虫の一種Onthophagus binodisに該当する.同属のOnthophagus taurus では,精子競争リスクのアシンメトリーが減少するために,両形態の雄は同量の精液投資を行う.本研究ではマイナー雄における精子競争への適応が,より高い父性獲得を生じさせるかどうか調べるために雄に放射線処理を行う技術を用いた.
 本研究の結果では,両種の形態の異なった雄がそれぞれ平均的に同量の受精獲得を得ることがわかった.O. taurusとO. binodisのどちらも,メジャー雄とマイナー雄の異なった戦略による受精獲得の違いはなかった.そのためO. binodisのマイナー雄は,メジャー雄と同等の受精獲得をするために,より多くの精液投資をしているはずである.
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by mushikusa | 2012-05-13 20:44

5月9日(水) むしくさゼミ 篠原

日時:5月9日(水) 13:20〜
M2 篠原忠
題目:「日本産カメノコハムシ亜科Cassidinaeの系統分類学的研究」

 カメノコハムシ亜科Cassidinaeはハムシ科の一亜科であり、日本からは43種3亜種が知られている。すべての種が植食性であり、背面に多数の棘を有するトゲハムシ類や外縁部が扁平化しているカメノコハムシ類のように特異的な形態をした種が含まれている。また、寄主植物や幼虫の生活習性についても多様である。これらは種レベルでの分類の見直しが行われているが、日本産の種でも外部形態にあまり差がない分類群では形態のみによる分類は難しい。そのため、形態分類だけではなく分子系統解析に基づく分類の再検討が必要であると考えられる。
 本研究では、日本産カメノコハムシ亜科の系統関係を明らかにするために分子系統解析を行った。解析にはミトコンドリアDNAのCOⅡ領域を用い、それに基づき最節約系統樹を作成した。21種について解析結果を行った結果、カメノコハムシ亜科の単系統性が支持され、これらは大きく3つの独立したクレードに分かれた。幼虫および成虫の形態を観察した結果、雄交尾器の形状がこれらの系統関係を反映している可能性が示唆された。さらに、幼虫の形態は生活習性によって異なるため、幼虫形態がどのように適応し進化したのか考察した。また、本研究で用いたヒラタカメノコハムシ属2種において解析した塩基配列がすべて一致していたので、これらを同種として扱うことが妥当かについても検討した。

 今後は以下の内容に取り組み、研究を進める予定である。
 1. DNA抽出およびPCR増幅の効率化を図る
 2. ミトコンドリアDNAおよび核DNAを用いて系統解析を行う
 3. さらに多くの種を用いて系統解析およびスケッチを行う
 4. 生活史と形態進化との関係について考察する
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by mushikusa | 2012-05-07 12:35 | むしくさセミナー

5月7日(月)  論文ゼミ

日時:5月7日(月) 13:20〜
M2 中本
題目:REVIEW The role of genotype-by-environment interactions in sexual selection
性選択における遺伝子型—環境相互作用の役割


自然選択においての「遺伝子型—環境相互作用」(以下GxEs)の役割は農作物の品種改良において、広く研究されてきたが、性淘汰に関しては10年ほど前から注目され始めた。性選択において、GxEsは重要な要素である。GxEsと性選択の調査は、配偶者選択と配偶者競争を比較的シンプルに取り扱う分野の中で新しく重要な研究である。本論文ではGxEsが性的シグナルに影響を与える、性的形質の進化にどのような影響を与えるのか。また、GxEsは性選択の多様性と性的隔離に影響を与えるのかを研究モデルを基に示した。実証研究を基に、性選択におけるGxEsの役割の考察と今後の研究指針を示した。
◆遺伝子型—環境相互作用とは
・性選択におけるGxEsの役割
・♂の性的シグナルの信頼性と♀の選好性の共進化について
・性的形質を発現させる遺伝子型の維持
・集団の分岐について
◆実証研究例
・過去15年のGxEsについての20本の研究例を示す。
◆今後の指針
・♂♀の性的形質の共進化
・非生物的環境変異と生物的環境変異の違いについて
・GxEsのメカニズムについて
◆結論
性選択におけるGxEsの影響は、♂の性的形質の内容に重点が置かれていた。今後は♀の選好性に関しても、性的シグナルと遺伝子型変異に影響を与えるものを研究していく必要がある。ハチミツガでは♂♀両方の性的形質の共進化におけるGxEsの影響が定量化された。今後は性選択と性的形質の進化に影響を与える、より複雑なシナリオを熟慮していく必要がある。
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by mushikusa | 2012-05-05 08:29 | むしくさセミナー