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5月2日 むしくさゼミ

日時:5月2日(水) 13:20〜
発表者  M2  中本幸太郎

題目:「チョウセンカマキリの性的共食いが精子競争に与える影響」

 交尾行動の過程で、♀が♂を捕食することを性的共食いという. ♀は捕食により栄養を得ることができるが、♂は捕食されると後の交尾機会が消滅してしまう. カマキリの♂は複数回交尾できるので、交尾機会の消滅によって♂には多大なコストがかかる. つまり、♂♀の間には性的対立が生じる(Elger 1992). 性的対立は生物の進化を押し進める強力な力であり、その理解は生物多様性の創出メカニズムの理解に繋がる. 性的対立は♂♀の拮抗的共進化を引き起こしうることが知られている. 特にカマキリでは、性的共食いは♂にとってコストであるから、♂は捕食を避ける、もしくは捕食のコストを補うために対抗進化していると期待される.
 この可能性を調べるため、本研究ではチョウセンカマキリTenodera angustipennisを用いて実験を行った. 性的共食いに対する♂の対抗進化はどのようなものかを検証することを目的として、以下の3点について実験を行った.
 ①♂は♀の捕食を回避するように進化しているか?(リスク回避)
 ②♂は捕食されるなら,その分繁殖にありったけの投資(交尾時間の延長・
  精子量の増加など)をしているか?(終末投資)
 ③その結果として、♂はより多くの父性を獲得しているか?(DNA解析)

今回のゼミでは2010年、2011年の研究結果と考察を踏まえ、今後の研究計画を発表する.

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by mushikusa | 2012-04-30 11:37 | むしくさセミナー

4月25日むしくさぜみ

日時:4月25日(水) 13:20〜
発表者  髙野 智央

題目:「溜池畦畔の草原性植物種の多様性とその保全」

現在世界規模で様々な生態系における環境変化に対する危機感が広がっており、中でも人間活動に適応した生物の生息地の破壊・改変による生物多様性の減少は大きな課題の1つである。ここでの生物多様性は「単純に生物種の数」や「その土地固有の種の数」などを指標としている。
生物多様性保全の意義の1つとして、多様性に経済的価値があることが挙げられる。例えば、現在の医薬品の約40%は生物由来の化学物質であり、今後の新薬開発のために未知の生物種が調べられている。生物多様性が急激に減少した場合、新薬が見出される可能性は著しく低下する。
しかし現在絶滅危惧生物の全てを保全することは資金的・人的にも不可能であり、保全対象種や対象地域に優先順位をつける必要がある。このとき、より希少性・固有性の高い種や地域には高い優先順位が与えられる。
ここで、私は日本で多くの種が絶滅危惧種に指定されている草原性草本植物に注目することにした。これらの植物の多くは草刈り等の管理がされた半自然草原に生息している。近年、世界的に半自然草原では、農業集約化や耕作放棄の影響により植物多様性が激減していることが知られている。
日本での半自然草原の1つとして水田や溜池の畦畔がある。これまで特に棚田上部の溜池の畦畔には絶滅危惧植物が多いことが示唆されてきた。棚田上部の溜池はそのアクセスの悪さから耕作放棄され易く、大規模な圃場整備で破壊されることもあり、その畦畔の多様性が失われつつある。
私はこれまで十分な研究がない溜池畦畔の草本植物、特に希少種の多様性に注目し、これまでの農法が多様性を維持してきた理由の解明とその保全を目的とし研究している。
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by mushikusa | 2012-04-24 17:03 | むしくさセミナー

4月25日 むしくさゼミ

日時:4月25日(水) 13:20〜 M1 丸山航

題目:『精子競争におけるイワワキオサムシの雄の投資調節;雌の交尾経験に対する変化』


 精子競争は,雌が複数の雄と交配し,精子が受精を巡って競争するときに生じる.また精子競争は,配偶行動の進化を促す力としても広く認識されている.
 精子競争では,雄は多くの精子を多くの雌に送ることで受精の獲得において有利になるはずである.しかし雄にとって精子生産はコストであり,精子数は有限であるため,実際には多くの精子を多くの雌に投資することはできないと考えられる.そのため,雄はライバルの有無によって投資量を調節している可能性がある.
 Parker(1997)の理論によると,雄は未交尾の雌よりも,既交尾の雌に多くの精子を送ると予測されている.これは,ライバルの存在下では競争に勝つために多くの投資をした方が有利であると考えられるからである.しかし,最近のメタアナリシスの研究によると,多くの動物の雄は未交尾の雌に多くの投資をする傾向があることがわかった.このような雄の投資調節の違いは,種によって精子競争のメカニズムが異なるためかもしれない.そのため,種ごとの交尾行動や精子競争の特徴を考慮した上で,投資調節の仕方を比較検討する必要がある.
 オオオサムシ亜属は,種間で繁殖戦略が異なり,精子競争の比較研究に適した材料である.前年度の研究では,本亜属のイワワキオサムシを用いて,雌の交尾経験に対する雄の投資調節の変化を調べた.その結果,雄は既交尾の雌により多くの精子を投資することがわかった.この結果は,イワワキオサムシの雄が雌の交尾経験に応じて投資を調節していることを示唆するものである.
 今年の研究では,イワワキオサムシにおける精包置換率や父性獲得率の検証,近縁種を用いた雄の投資調節の比較を目的として取り組む.
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by mushikusa | 2012-04-23 19:45 | むしくさセミナー

4月23日論文ゼミ

日時:2012年4月23日(月) 13:20〜 日下石 碧

Understanding and planning ecological restoration of plant-pollinator networks
「生態系の送粉ネットワークの回復の理解と計画」


人間活動によって生態系システムの低下している。生態系の復元は生物多様性や生態系サービスの機能を回復させるには重要である。生態系構造(ネットワーク構造など)を評価することで、生態系システムや種の保全などの生態系サービスを保全している。
適切な管理とその評価によって回復をすることができる。
1.コミュニティーの機能と変化の研究によって理論が発達した。
2.コミュニティーを回復させるのに重要な種を見つけることで回復することができる
 と考えられる。そこで本研究では
Objective1:林齢で送粉ネットワークが変化した時の変化するメインの種を見つける
Objective2:2つの回復の継続が少ないコミュニティーでネットワーク回復のシュミレーションを行った。
これらを行うことで、大規模の回復の道筋になる。

本研究はイギリスのマツ林で林齢の異なる30地点で行った。
Objective1:それぞれのネットワーク特性を算出した。
Objective2:林齢135年以上の森林5ヵ所のデータを用いてシュミレーションを行った。

本研究の結果より
135年以上管理地では樹木の密度が減り、樹木の直径が太くなった。
また、interactionの多様性とevennessが増加し、Vaccinium, Erica, Callunaが定着していた。
シュミレーションの結果、種数を増やすことで、送粉ネットワークの安定性が増加した。
以上のことから、マツ林でコミュニティーの回復の道筋(胸高断面積が低く、立木の密度を少なくする方向性にする)を立てることができた。
森林管理においてギャップの大きさと実際に行う回復の計画について勧めることができる。
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by mushikusa | 2012-04-22 08:42 | むしくさセミナー

4月23日 月曜日 論文ゼミ

日時:2012年4月23日(月) 13:20〜 研究生 平岩将良

題目:「Seed dispersal interactions in the Mediterranean Region: contrasting patterns between islands and mainland」
地中海地域における種子散布相互作用:島と本土間の対照的なパターン

ネットワーク構造や種間相互作用に影響するいくつかの要素(種の豊富さ、種のアバンダンスなど)は地域間変異を受けやすい。またネットワークは動的で場所によって変化する。

本研究では地中海の島と本土を対象に、植物―種子散布者のネットワーク構造の違いを群集及び種レベルで研究を行った。

方法
調査は本土1箇所(南スペイン)、海洋起源の島2箇所(カナリア諸島)、大陸起源の島2箇所(バレアレス諸島)で調査を行った。種子散布者の糞を分析することで2種類(質的・量的)の種子散布ネットワークをつくり、ネットワークパラメータ(connectance, nestednessなど)の比較を行った。

結果
島のネットワークは本土と比べて小さく、より単純だった。予想通り、島ではconnectanceが本土よりも高かった。対照的にnestednessは全ての場所で高かった(相対的なnestednessは島の方が低かった)。島では群集と種レベルの両方でよりスペシャリスト化し、相互作用が対称的になる傾向があった。

考察
島における少ない種数と強いスペシャリスト化は本土より対照的な相互作用をもたらす。非対称性な相互作用が多様性の維持や種の絶滅から回復を助けるという先行研究から考えると、本土に比べ島の共生ネットワークや種の相互作用が攪乱に対して脆弱だということを示している。
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by mushikusa | 2012-04-20 19:40

むしくさゼミ(研究結果、研究発表)

日時:2012年4月18日(水) 13:20〜 M2 松久 聖子

題目:「雌雄異株植物における開花フェノロジーと、その資源状態への反応の性差」

 開花フェノロジーとは、確実に子孫を残すために、植物ごとに適応し進化してきた仕組みであり、雌雄異株植物の開花フェノロジーの仕組みを解明することは、雌雄間の繁殖戦略の違いの理解につながると考えられる。雌雄異株植物における開花フェノロジーの性差を扱った研究は少なく、中でも資源状態による開花フェノロジーの変化について、その性差をみたものは少ない。

 開花フェノロジーの性差は、雄と雌の持つ花数の違いにより生じると考えられている。花数が圧倒的に多い雄は、少量の花を少しずつ咲かせるのが適応的であるのに対し、花数の少ない雌は、持っている花数の大半を一斉に咲かせるのが適応的である。

 本研究では、この着眼点を基に、同所的に生育しているモチノキ科モチノキ属の3種、ソヨゴ、イヌツゲ、ウメモドキの雌雄各10個体を対象に、①雌雄異株植物において開花フェノロジーに性差はあるのか、②資源状態による開花フェノロジーの変化に性差はあるのか、を明らかにすることを目的として調査を行った。
 以上の結果と考察を踏まえ、今年の研究計画を発表する。
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by mushikusa | 2012-04-18 07:48

むしくさゼミ(研究結果、計画発表)

日時:2012年4月18日(水) 13:20〜 M2 永田

題目: 半自然草原における管理の放棄、変化に伴う植物多様性の減少メカニズムの解明

半自然草原とは、野焼きや草刈りなど人の管理によって維持されてきた草原である。半自然草原は多様な草原性生物を育む環境であるが、近年、ライフスタイルの変化や管理者の高齢化などに伴い、半自然草原の面積が減少しており、草原性生物の多様性減少が世界的に報告されている。日本においても多くの草原性種の絶滅や減少が危惧されており、早急な保全策の提案が必要とされている。
本研究では長野県開田高原の半自然草原において、草原管理とそれによって変化する生育地の環境要因が、植物にどのように影響を与えているのかを明らかにする。その結果をもとに、具体的な保全策の提言を目指し、草地保全の取り組みを少しでもサポートすることを目標とする。
2010年、2011年の調査結果より、①管理ー植物多様性②管理ー環境要因③環境要因ー植物多様性の関係を示し、考察を行う。またこの結果を受け、今年の研究計画を発表する。
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by mushikusa | 2012-04-15 22:13 | むしくさセミナー

4月16日 月曜日 論文ゼミ

日時:2012年4月16日(月) 13:20〜 M2 松久

題目:Phenotypic selection on flowering phenology and size in two dioecious plant species
    with different pollen vectors
 花粉媒介が異なる2種の雌雄異株植物における、開花フェノロジーとサイズに関する表現型の選択

雌雄異株植物には、動物媒と風媒の植物がある。
花粉媒介の仕方の違いが、開花フェノロジーにおける選択圧を強めるのではないかと考え、虫媒と風媒の2種の雌雄異株植物を対象として以下の内容を調査した。

●調査内容
・開花開始、開花のオスとメスの同調性、個体サイズ・・選択差と選択勾配
(個体サイズは、開花フェノロジーが蓄積された資源に影響を受けているのではないかと考えられるため)
・オスとメスの特徴の違い(性比、花数、開花継続期間、開花開始、個体サイズ)


●結果
・2種とも性比はオスに偏っていた。
・2種とも、オスの方が個体は大きく、多数の花つけていた。
・虫媒の種のみ、オスの方が開花開始は早く、開花継続期間は長かった。
・選択勾配は、虫媒の種のみについて、開花が早い方が適応度が高い傾向にあった。

●考察
・フェノロジーの性差は、性配分と性淘汰の理論によると考えられる。
・虫媒の巣は、風媒の種よりも強い淘汰の元にあるのではないか。

以上を通し、開花フェノロジーの様子における花粉媒介の潜在的な役割を議論する。
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by mushikusa | 2012-04-13 18:41

4月16日 月曜日 論文ゼミ

日時:2012年4月16日(月) 13:20~  D2,内田

題目:Grasshopper reponse to reductions in habitat area as mediated by
    subfamily crasification and life history traits
   生息環境の減少による、バッタ類の反応 =亜科および生活史特性から=


生物多様性の減少は、ハビタットの面積、不均一性、連続性の減少が関係してい
るが、既存研究においては、全種多様性に関するものが多く、その特性を考慮し
たものは少なかった。しかし、生物多様性の減少を明らかにするためには、種の
特性と分類群が重要な説明要因だと考えられる。

本研究では、USAコロラドの都市域における草原の分断化が、バッタ類の
生物多様の減少に与える影響を定量化することを目的とする。

特に、以下に示す、種の特性との関係を明らかにすることが重要である。
・亜科(Gomphocerinae, Melanoplinae, Oedipodinae)および、
・生活史特性(体サイズ、分散能力、食草、幼虫の発生時期)

本研究結果から、
・特性ごとに、ハビタットロスへの反応が違うことが明らかとなった
・Melanoplinae は、ハビタットロスへの反応が最小であり、その他の亜科の減少
 は顕著であった。
・Forb(広葉草本)を食草とする種群の減少は最小であり、Grass(イネ科)、
 herbivorous(雑食)のバッタの減少は顕著であった。
・体サイズと分散能力は影響に関係が示されなかった。

以上から、種の特性を考慮した上で、生物多様性の減少過程を明らかにすることが
重要であると示された。

 

 
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by mushikusa | 2012-04-13 09:31 | むしくさセミナー